1. この職種って何をする仕事?
購買職の役割は「安く買うこと」と思われがちですが、それは半分しか合っていません。
購買が見ているのは、“トータルコスト”。目先の価格だけでなく、納期、品質、取引継続性、物流コスト、為替リスク、信頼性…あらゆる要素を加味して「本当に最適な仕入れ先か?」を判断するのが購買のプロの仕事です。
2. よくある誤解
「同じ部品なら、とにかく一番安い会社から買えばいいんじゃない?」
――それ、短期的には正解に見えて、長期的には不正解です。
例えば…
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安いけど納期が毎回遅れる
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品質が安定しない
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アフター対応が雑でトラブル時に連絡がつかない
そんな取引先と組んでいたら、生産ラインが止まり、営業が謝罪に走り、顧客の信頼まで失う事態に。
購買は、“安物買いの銭失い”を避けるための防波堤でもあるのです。
3. 向いてる人・向いてない人
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向いてる人:バランス感覚がある、コストとリスクを同時に見られる人
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向いてない人:「価格が全て」と思い込むタイプ、交渉で感情的になる人
調達の世界は、単純な「安い vs 高い」ではなく、**総合的な“判断力”**が求められます。
4. 現場のリアル
例えば、中国のサプライヤーが最安だったとしても、為替の急変や地政学リスクで取引がストップする可能性がある。
一方で、国内の高めなサプライヤーは、緊急時の柔軟対応で結果的に全体コストを抑えられるケースも。
そんな**“見えないコスト”**に気づき、どう判断するかが購買の腕の見せ所です。
5. 若手が任される仕事
若手のうちは「見積の比較表を作る」「納期トラブルの社内連絡調整」「代替案の検討」など、複数の観点で“比べる・判断する”練習をたくさんします。
価格だけじゃない判断軸を身につけられるのが、この仕事の魅力でもあります。
6. この職種の将来性
「安く買う力」だけでなく、「安定供給できるサプライチェーンを作る力」が問われる時代へ。
気候変動・地政学・脱炭素…リスクだらけの時代だからこそ、購買は今、企業の“リスクマネジメント最前線”にいます。
7. よく使う専門用語・知識
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TCO(Total Cost of Ownership):製品を導入~廃棄まで含めた全体コスト
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BCP(Business Continuity Plan):供給停止時の継続計画
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LCC(Low Cost Country)調達:海外の低コスト国からの調達戦略
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ソーシング戦略:何をどこから、どれだけ、どう買うかの方針策定
8. 学生時代にやっておくと良いこと
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比較検討するクセをつける(ゼミ・旅行・買い物などなんでも)
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複数の視点で「最適解」を考える経験
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SDGsや地政学リスクに関心を持ち、ニュースを追ってみる
9. キャリアチェンジ可能性
購買の知見を活かして、将来的にはSCM(サプライチェーンマネジメント)や企画・戦略部門へキャリアチェンジする人も多いです。
購買を経た人は「経営感覚がある」と評価されることも。
10. 学生が持つべき視点
“安さ”は正義じゃない。
「何を買うか」ではなく、「どう買うか」を考える力が購買の本質です。
これって、実は就活そのものにも通じますよね。