〜「みんなが困ってる」は、経営判断にはならない〜
1. この職種って何をする仕事?
経営企画の本質は「全体最適」。
現場の声や社員の気持ちを汲みながらも、会社全体として何が正しいかを見極める仕事。
つまり、“個別の困りごと”に感情移入しすぎると、正しい経営判断ができない。
どこかを守るためには、どこかを切る決断も必要になる。
この“割り切り”こそ、経営企画の醍醐味であり、難しさでもある。
2. よくある誤解
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「現場の声をよく知っている人が、経営企画に向いている」
→ それだけでは足りない。視座を“経営側”に引き上げる必要がある。 -
「みんなが困っている=変えるべき」は短絡的。
→ 予算・戦略・優先順位のバランスを取った“落としどころ”が求められる。
3. 向いてる人・向いてない人
向いてる人
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感情より論理で判断できる
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利害がぶつかる場面でも冷静でいられる
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俯瞰して物事を考えられる
向いてない人
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感情移入しやすく、意見に流されがち
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「誰かのために」ばかり考えてしまう
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全体を見ずに、自分の立場だけで発言しがち
4. 現場のリアル
たとえば「営業から『このツール使いにくい』という声が多いから改善しよう」と言った時、
本当にその改善は全社の利益につながるのか?
コスト、優先順位、他部門との整合性…
すべてを踏まえて、「今、やるべきか」を判断するのが経営企画。
5. 若手が任される仕事
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複数部門から上がる要望の整理と可視化
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投資対効果を踏まえた企画書作成
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社内調整(意見の対立がある時の間に立つ役割)
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「実行するか否か」を上層部に提案するまでの下準備
6. この職種の将来性
全体最適で物事を考える視点は、事業責任者や役員ポジションにも直結する力。
冷静な判断力と視座の高さは、どの企業でも重宝される。
また、スタートアップや新規事業開発にも応用が利く。
7. よく使う専門用語・知識
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全社最適・部分最適
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ROE・ROA・KPI・KGI
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投資対効果(ROI)
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優先順位/パレート図
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利害関係者(ステークホルダー)
8. この仕事を目指すなら学生時代に何をすべきか
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ゼミや部活で“まとめ役”を経験する(全体の意見を整理する力)
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自分の主張だけでなく、“相手の立場”でも物事を考える習慣をつける
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経済新聞や企業ニュースで、経営判断の背景を読む癖をつける
9. キャリアチェンジ可能性(どこに繋がる?)
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事業企画/新規事業開発
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経営管理・財務・経理系ポジション
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コンサルティングファームへの転職にも強みになる
10. 学生が持つべき視点
「現場を理解すること」と「現場に寄りすぎること」は違う。
学生はよく「現場を大切にする会社がいい」と言うが、
経営企画は、“現場のために”ではなく、“会社のために”を徹底できる人が向いている。
その冷静さと視座の高さが、経営層からの信頼につながる。