1. この職種って何をする仕事?
購買職(調達職)とは、会社に必要な「モノ」や「サービス」を、適切な価格・品質・納期で仕入れる仕事。工場で使う部品や原材料、IT機器、オフィス用品、さらには外部委託する業務(コンサルや清掃など)まで、会社の出費をコントロールするポジションです。
単に「買う」だけではありません。コスト交渉・納期管理・品質の保証・取引先の評価など、多岐にわたる業務を通じて、利益に直結する“裏方のキーマン”です。
2. よくある誤解
「購買って、営業が売ってきたモノに部品を発注するだけでしょ?」
――それ、完全に誤解です。
購買職は「言われたものを買う」のではなく、「どう買うか」を主導する立場。時には、設計や開発段階から入り、「もっと安く・早く・良く」作るための調達戦略を提案します。つまり、指示待ちではなく、サプライヤーと社内の間に立つ“調整役”かつ“戦略家”です。
3. 向いてる人・向いてない人
-
向いてる人:交渉ごとが得意、数字に強い、冷静に状況判断できる人
-
向いてない人:空気を読みすぎて言いたいことが言えない人、「とにかく安ければいい」と単純に考える人
購買は、取引先に強く出す場面もあれば、社内と粘り強く調整する場面も多い。「相手の立場も理解しながら、落とし所を探れる」力が必要です。
4. 現場のリアル
取引先との交渉では、「あと3%値下げできないか」「不具合の原因は何か」「納期が遅れたらどうリカバリーするか」など、シビアなやりとりが日常茶飯事。時には数億円単位のコストを動かすこともあり、プレッシャーもあります。
でもその分、「自分の交渉で会社の利益が守られた」と感じられる瞬間は、営業に負けないくらいの達成感があります。
5. 若手が任される仕事
最初は少額の間接材(オフィス用品や消耗品など)の調達からスタートし、少しずつ金額や影響の大きな品目を任されていきます。また、部品の単価分析や、購買実績の集計、納期フォローなど、データ処理・社内調整系の仕事も若手が担うことが多いです。
6. この職種の将来性
製造業・インフラ・ITなど、業界を問わず必要とされる購買職は、どの会社にも必ずあるポジション。近年では「戦略購買」「グローバル調達」など、単なるコスト削減にとどまらず、企業競争力の鍵を握る存在になっています。
7. よく使う専門用語・知識
-
コストブレイクダウン(CBD):部品の原価構成を分析する手法
-
見積依頼(RFQ):複数のサプライヤーから価格を取得するプロセス
-
納期管理:生産に遅れが出ないように供給スケジュールを把握する
-
サプライヤー評価:取引先を品質・納期・コスト・対応で点数化
8. 学生時代にやっておくと良いこと
-
数字やデータを扱う経験(Excel、統計など)
-
サークルやバイトでの交渉経験(仕入れ・折衝・価格交渉など)
-
工場見学・モノづくり系の体験(製造工程の理解が購買に活きる)
9. キャリアチェンジ可能性
購買→営業→経営企画、あるいは購買→工場長→本部長など、モノの流れ・コスト構造を知ることで、経営層に近づくキャリアパスが見えます。最近ではサプライチェーンマネージャーやSDGs調達の専門家としても道が開けます。
10. 学生が持つべき視点
「購買=地味な裏方」と決めつけるのは早い。
“お金を出す側”の立場で、社内外の利害を調整しながら、交渉・分析・判断を下す購買職は、むしろ「裏から会社を動かすダイナミックな仕事」です。